「帰っちゃうの」と、三男は泣いた。

子育てのあとで思うこと

三男は遠方の大学に進学しました。車では行けない距離だったので、移動は飛行機。だから引っ越しも、一般的な引っ越しとは少し違っていました。

荷物はできるだけ少なくして、必要なものは現地で購入したり、ネットで注文して新居に届けてもらうことに。家から送ったのは、段ボール6箱だけでした。

少しずつ空っぽになっていく部屋

荷物は一度にではなく、少しずつ宅配で送りました。そのたびに部屋の中の物が減っていって、最後にはベッドと空っぽの家具だけに。

でも、なんだかまだ実感がありませんでした。2日くらいは、そのほとんど何もない部屋で普通に過ごしていて。「引っ越すんだなぁ」と思いながらも、どこか一時的な感じがしていた気がします。

初めてだらけの引っ越し

引っ越しは、三男と私の2人で飛行機に乗って行きました。旅行以外で飛行機に乗ることなんて初めて。慌ててチケットを取った私は、なんと入学式の日の夜便を予約してしまいました。

格安チケットだったのでキャンセルもできず、三男は入学式には出席せず、翌日のオリエンテーションが大学生活のスタートになりました。今思うと、可哀想なことをしてしまったなと思います。

でも三男は、「式とか面倒だし、スーツいらなくてよかった」と笑ってくれました。その言葉に、少し救われたのを覚えています。

とにかく必死だった数日間

飛行機が夜の便だったので、その日は新居には入れず駅前のホテルに一泊。翌朝、三男は電車で大学へ。私はレンタカーで、新居の鍵を受け取りに行きました。

掃除をして、荷物を受け取って、ガスの開栓に立ち会って。そのあとまた買い物。まだ何も揃っていなくて、カーテンもない、布団もない。4月なのにまだ寒くて、「とにかく今日寝られる状態にしないと」と必死でした。

夕方、大学から帰ってきた三男と合流して、また買い物へ。土地勘のない場所での買い物は思うように進まず、時間ばかり過ぎていきました。ふと気づいた時には、2人とも何も食べていなくて。

せっかくだから、何かご当地のおいしい物でも食べたかったのに、結局入ったのは全国チェーンのうどん屋さんでした。でも、疲れ切っていたから、その温かいうどんがすごくおいしかったです。

三男と過ごした一週間

レンタカーがあるうちに買い物を済ませたくて、週末も私はずっと動き回っていました。大学は土日もあって、三男は授業へ。日曜日だけ少し早く帰ってきたので、レンタカーを返す前に少しだけ観光に出かけました。

ランチをして、動物園に行って、ショッピングをして。それがすごく楽しかった。

三男は部活をしていなかったので、子どもの頃から送り迎えや付き添いが少なくて、2人だけで長時間過ごすことって、実はほとんどありませんでした。だから今回、こんなに長い時間を一緒に過ごしたのは初めてだった気がします。

優しくて、気遣いができて、自然に荷物を持ってくれる。そんな三男の姿を見ながら、「大人になったんだなぁ」と嬉しくて、少し誇らしくもありました。

「帰っちゃうの、、、」

生活が落ち着くまで、私は一週間ほど一緒に過ごしました。ずっと平常心でした。特別な空気もなく、いつも通り。だから、私も大丈夫だと思っていました。

でも帰る前日の夜。三男が、すごく寂しそうな顔で、「帰っちゃうの、、」と小さく言いました。

その瞬間、胸がキューッとなりました。私も泣きそうだったけれど、笑いながら「またすぐ来るよ」と言って、ぎゅーっと抱きしめました。

寂しかったけれど。ずっと平気そうに見えていた三男が、ちゃんと寂しいと思ってくれていたことが、少し嬉しくもありました。

大学までの道

帰りの飛行機は夜の便でした。でも、大学から帰ってきてから私が帰るより、朝一緒に家を出た方がいい気がしました。1人の部屋に残されるみたいで、なんだか可哀想で。

帰る朝。荷物をまとめる私を見ながら、三男は大学へ行く準備をしていました。そして、ずっとシクシク泣いていました。私も泣きそうだったけれど、なんとか笑顔でいました。

一緒に家を出て、鍵を閉めて、大学まで歩きました。三男は歩きながらも、ずっと泣いていました。大学の門の前でも、まだ泣いていました。授業の始まる時間を気にしながら、なかなか離れられなくて。

やっと小さな声で、「行ってきます」と言って、校内へ入っていきました。袖で涙を拭いて、一度だけ振り返って。そのあとは、まっすぐ前を向いて歩いていきました。

特急電車の中で

三男を見送ったあと、私も駅へ向かいました。ガラガラの特急電車。指定席に座って、やっと一息ついた瞬間。涙が溢れました。今まで堪えていたものが、全部一気に出てきたみたいでした。

こんなに悲しいなんて思わなかった。本当に、身を切られるような気持ちでした。1時間40分の車内。泣いて、少し落ち着いて、また泣いて。その繰り返しでした。

またいつもの日常へ

途中、少しだけ観光もしました。でも、「三男と一緒に来たかったな」「一緒に食べたかったな」と思ってしまって、何度も気持ちが引き戻されました。

飛行機に乗る頃には、やっと少し気持ちを切り替えて、「次はいつ来ようかな」なんて考えていました。夫は休みを取れるかなとか、今度は私の両親も一緒に来られるかなとか。

三男の学生生活が、楽しく、かけがえのない時間になってくれたらいいなと思います。ちゃんと食べて、ちゃんと眠って、元気に過ごしてくれたらそれでいい。

そんなことを考えながら、またいつもの日常に戻りました。でもしばらくは、空っぽになった部屋を見るたびに、寂しくなってしまいそうです。

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