幼稚園のお迎えの車の中で、長男に聞かれました。
「お母さんは大きくなったら何になりたいの?」
その日、幼稚園で「将来の夢」の話題が出たそうです。
私は一瞬、言葉に詰まりました。
大人になってから「将来何になりたいか」なんて、考えたことがなかったからです。
お母さんになりたかった
「私は、お母さんになりたかったよ。結婚して、子どもを育てたかった。だから、今、お母さんになれて嬉しいよ。」
そう答えると、
「違う、そういうことじゃなくて。お母さんはもうお母さんでしょ。何になりたいの?」
えっ?どういうこと?
子どもの頃は学校の先生になりたかったこと。教育実習に行って、違うなって思ったこと。洋服が好きで、お店の人になりたかった時もあったこと。
思いつくままに話してみたけれど、長男はイライラして首を振ります。
「もういい。」
少し怒ったように言って、会話は終わってしまいました。
長男の思いは謎のまま
私はますます分からなくなりました。
あのとき、長男は何を聞きたかったのでしょう。
母という役割ではなく、私という1人の人間の未来を知りたかったのかもしれません。
子どもにとって「大人」は完成形ではなく、これからも何かになる存在だったのかもしれません。
でも私は、そのときも今も思います。
私はやっぱり「お母さんになりたかった」。
思い描いていた理想の母親とは違うけれど、20年近く経った今、母として過ごしてきた時間は、私にとって誇らしいものです。
ちなみに長男は、家では消防士になりたい、漫画家になりたい、と言っていたのに、ケーブルテレビの撮影では
「仮面ライダーになりたいです」
と答えていました。
なんじゃそりゃ、です。
でも、あの頃の夢は、きっとどれも本気だったのでしょう。
あの問いは今でも私の中にある
子どもの問いは、時々、親の奥深くを揺らします。あの日の質問は、今も私の中に残っています。
そして今なら、こう答えるかもしれません。
「お母さんはね、何になるのか探し続ける人でいたい」


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