子育てを振り返ると、「あの時は失敗したな」と思うことはたくさんあります。
怒りすぎてしまった日。
ちゃんと話を聞いてあげられなかった日。
余裕がなくて笑えなかった日。
そんな失敗はいくつもあるけれど、私の中で今でも忘れられない出来事があります。
あれは、長男が小学4年生の時のことでした。
その日、長男と二人で話をしていました。
何をきっかけにそんな話になったのかは、もうはっきりとは覚えていません。
弟たちのことだったのか、兄弟げんかのことだったのか…。
叱っていたわけではありません。
ただ話をしていただけでした。
すると突然、長男がポロポロと涙を流し始めたのです。
「どうしたの?」
そう聞くと、長男は泣きながら言いました。
「弟があんなんなのは僕のせいだ。
ちゃんとできないのは僕のせいだ。」
その言葉を聞いた瞬間、頭を殴られたような衝撃を受けました。
私は4人の子育てに追われ、毎日が精一杯でした。
次男が学校でトラブルを起こした時。
家族でショッピングモールやテーマパークへ出かけた時。
親戚の集まりで弟たちがはしゃぎすぎないようにしてほしい時。
私は何度も長男に、
「見てあげてね。」
「お願いね。」
そう声をかけていました。
長男は責任感の強い子でした。
自分から前に出るタイプではないけれど、いつも弟たちのことを気にかけてくれる子。
頼めば「えー」と文句を言いながらも、結局はなんとかしてくれる。
私はそんな長男に安心して頼り、助けてもらっていました。
でも、その時の私は気づいていなかったのです。
長男は「手伝っている」と思っていたのではなく、「弟たちのことは僕の責任なんだ」と受け止めていたことを。
胸が張り裂けそうでした。
私は泣きながら長男に伝えました。
「ごめんね。
〇〇のせいじゃないよ。
いつも見てくれて、本当にありがとう。
お母さんはすごく助かってる。
でも、無理しなくていい。
全部背負わなくていいんだよ。
ごめんね。
お母さんが頼りすぎてたね。」
あの日から、私は別人のように変われたわけではありません。
4人の子育ては相変わらず毎日が慌ただしく、長男に頼ってしまうこともありました。
人はそんなに簡単には変われないのだと思います。
でも、一つだけ変わったことがあります。
長男にお願いをした時は、その表情を見るようになりました。
無理をしていないかな。
責任を感じていないかな。
そんなことを気にかけながら、足りない言葉があれば伝え、話を聞くようになりました。
私にとって、あの出来事は子育てで一番の過ちでした。
長男に頼ったことではありません。
長男がどれほどのものを背負っていたのか、その気持ちに気づけなかったことです。
あの日、私は長男に「ごめんね」と伝えました。
でも、あれから何十年も経った今でも、あの日のことを思い出すたびに、心の中で「ごめんね」とつぶやいてしまいます。
長男がポロポロ涙を流しながら、「僕のせいだ」と言ったあの顔は、忘れようがありません。
あの日の「ごめんね」は、私の一生の戒めです。


コメント