子どもの初めての高熱。あの日、私は世界で一番不安なお母さんだった

子育てのあとで思うこと

「子どもは熱を出すもの。」

四人育てた今なら、私もそう言えます。

でも、一人目の子が初めて高熱を出したあの日は、そんな言葉を受け入れる余裕なんてありませんでした。

祖母を囲んだ家族旅行で

長男が生後8か月の頃。

祖母を連れて、親戚みんなで一泊旅行に出かけました。

大人数での久しぶりの旅行。

みんな楽しみにしていた時間でした。

ところが途中から、長男の様子がおかしいことに気が付きました。

いつもより元気がなく、抱っこしていてもぐったりしています。

熱を測ると、38.9℃。

今思えば、子どもなら珍しくない熱です。

でも当時の私は、親になってまだ8か月。

こんな高い熱を見るのは初めてでした。

「こんなに熱があって大丈夫なの?」

怖くて、怖くてたまりませんでした。

一刻も早く病院へ行きたい

夫はずっと長男を抱っこしていました。

心配で、ひとときも離れたくない。

そんな気持ちだったのでしょう。

長男もずっと辛そうで、笑顔はありませんでした。

私は、一刻も早く旅行を切り上げて病院へ連れて行きたい。

そのことしか考えられません。

でも、この旅行は祖母を囲んだ大切な時間。

親戚みんなが楽しみにしていた旅行でもあります。

私たちだけ帰るわけにもいかない。

みんなに合わせて予定通り行動しながらも、心はずっと長男のことでいっぱいでした。

あの時は、鬼に見えた

周りには子育てを終えた叔母たちがいました。

「子どもなんて熱くらい出すよ。」

そんな空気でした。

きっと悪気はなかったんだと思います。

でも、初めての子育てをしていた私には、その言葉が、とても冷たく聞こえました。

「こんなに苦しそうなのに。」

「どうしてそんなに平気でいられるの?」

おっぱいを飲ませるたび、長男の口が熱い。

その熱さを感じるたびに、泣きたくなりました。

あの日の私には、叔母たちが鬼のように見えたんです。

やっと病院へ

旅行が終わると、休日の救急外来へ駆け込みました。

診察はあっという間でした。

「大丈夫ですよ。」

特別な病気ではなく、ただの発熱。

座薬を入れると熱は下がり、長男はみるみる元気になりました。

その瞬間、二日間ずっと張り詰めていた気持ちが一気にほどけました。

安心して、身体中の力が抜けていくようでした。

経験すると見える景色が変わる

その後も子どもたちは何度も熱を出しました。

高熱も、一度や二度ではありません。

そのたびに、水分は取れているか、顔色はどうか、ぐったりしていないか…。

見るポイントが少しずつわかるようになり、慌てることも減っていきました。

二人目、三人目、四人目になる頃には、

「あ、熱ね。じゃあ座薬入れて様子を見ようか。」

そんなふうに対応できるようになっていました。

初めての不安は、一度しかない

四人育てた今なら、叔母たちの気持ちもわかります。

子どもの熱は、経験すると「大丈夫な熱」と「気を付けたい熱」が少しずつ見えてきます。

だから、あの日の叔母たちは本当に「大丈夫」と思っていたのでしょう。

でも、それと同時に思うこともあります。

あの頃の私には、もう少し寄り添ってほしかった。

「心配だよね。」

その一言があれば、どれだけ救われただろうと思います。

経験がある人の「大丈夫」は、経験のない人には届かないことがあります。

初めての子育てには、初めての不安があります。

それは、そのお母さんにとって一度しか経験できない、不安です。

だから私は、初めての子育てで不安そうなお母さんに出会ったら、すぐに「大丈夫」と言うのではなく、

「心配だよね。」

まずはそう声をかけられる人でいたいと思っています。

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