「子どもが親の言うことを聞かないなんて、あり得ない」
最近、そんな話を聞いた。
子どもは親の言うことを聞くのが当たり前。
うちの子には、ちゃんと言うことを聞かせる。
そのお母さんは、そういう考えで3人のお子さんを育ててきた。
私は、それを聞いてちょっとびっくりした。
そんな子育てもあるんだな、と。
それがいいのか悪いのかは、私にはわからない。
ただ、私は4人の子どもを育ててきたけれど、子どもって、そんなに親の言うことを聞くものだとは思ったことがなかったんです。
私だって、昔は子どもに言うことを聞かせようとしていたこともあります。
「片付けなさい」
「静かにして」
何度言ったかわからない。
一緒に片付けることもあったし、最後には私が片付けることもあった。
生活に困らない部屋なら、そのまま放っておくこともあった。
でも、何も変わらない。
だんだんイライラしてくる。
そこで、いろいろ考えました。
お片付けの音楽を決めて、その曲が流れたら片付けを始めるようにしてみた。
最初の何回かは面白がってやっていたけれど、すぐに飽きてしまう。
物の場所を決めて、戻す場所の写真を貼ってみた。
これも最初だけ。
「私も片付けが苦手だから、家の中が片付いていないのが原因なのかもしれない」
そう思って、家中を片付けたこともある。
ところが、空いたスペースには、次から次へと物が置かれていった。
結局、いろいろやってみても、うまくいかなかった。
今思えば、私は「子どもをちゃんとさせるのが親の責任」だと思っていたんだと思います。
夫が帰ってくるときには、できるだけ気持ちよく過ごせる家にしておきたい。
そのためには、子どもにも協力してもらいたい。
それができないことに、子どもよりも自分自身にイライラしていたのかもしれない。
でも、子どもからしたら、そんなことは知ったことではないんですよね。
遊びの途中だったり、その遊びにはその遊びのつながりがあったりする。
「片付けなさい」と言われても、今すぐ片付ける理由が子どもの中にはない。
そんなことも、少しわかる。
そして、子どもたちが大きくなっていく中で、ほかにも同じようなことがたくさんありました。
「勉強したら」と言っても、なかなかしなかった子が、志望校を目指し始めたら勉強を始めた。
お手伝いとして食器洗いを渋々やっていた子が、一人暮らしを始めたら、家に帰ってきたときに自分から食器を洗ってくれるようになった。
本を読んでほしくて、いろんな本を買い揃えていたのに、まったく手に取らなかった子が、お気に入りの作家に出会ったら、活字を読み漁るようになった。
子どもの変化って、そこらじゅうにある。
親が何度言っても変わらなかったことが、本人の中で何かが変わった途端に、あっさり変わることがある。
そう考えると、親の言葉だけが子どもを変えるわけではないんだよな。
もちろん、親として伝えたり教えたりすることはある。
子どもが一人で生きていけるように、生活するための基本的なことを伝えるのは、親の役目だと思っている。
でも、それができるようになるかどうか。
いつできるようになるのか。
そこは、子ども次第なんじゃないかな。
私はもう大人になって、随分長い時間が経っている。
それでも、できないこともあるし、苦手なこともたくさんある。
わかっていても、言われたことをやらないことだってある。
そう考えたら、子どもだけに「言ったんだからできるでしょう」と求めるのも、なんだか違う気がします。
できなくても、なんとかなることも多い。
困ったら、誰かに助けを求めることだってできる。
だから今なら、
できないことにイライラしたり、怒ったりする必要はなかったのかもしれないな、と思う。
ほったらかしておけばよかった、とは思っていない。
伝えることは伝える。
教えることは教える。
そのうえで、待つ。
あとは本人が、自分で考えて、自分なりに折り合いをつけていくしかないのかもしれない。
子どもは親の言うことを聞くのが当たり前。
そういう子育てもあるのだと思う。
でも私は、4人を育ててきて、
「人って、そんなに人の言うことを聞かないよな」
と気付かされた。
子どもに限らず、私だってそうだから。
ただ伝える。
教える。
そして待つ。
それでよかったのかもしれないな。


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